ＪＢＬパラゴンを大音響で鳴らす私語厳禁本格ジャズ喫茶があった。
カウント・ベイシーが大好きなマスターは、そのスピーカーのご機嫌をとり、日夜格闘されていた。
１９７０年代半ばから４年間、そのジャズ喫茶にほぼ毎日入り浸っていた学生小僧の私は、
そこで、このとんでもない作品に出会ってしまいました。
全身に強烈な電流が走ったあの時を昨日のことのように思い出します。
それはパラゴンの実力とＥＣＭの驚異的な録音技術の賜物でもあるのでしょうが、
巨大なモンスターのようなパラゴンスピーカーから発っせられたその音は、
ＥＣＭの純度が高く快い音質と共に、音楽として体験したことがない至上のシャングリラへと誘ってくれました。

当時、ヨアヒム・キューンやオレゴンたちとモーダルなすばらしい音を聴かせていたが、
若くして亡くなったヴァイオリンの鬼才、コルトレーンを崇拝した　｢ズビグニュー・ザイフェルト｣　に捧げられている。

とにかく美しく、また怖いくらい清らかで凝った和声と、一音一音にごまかしが全く無く、エモーショナルなタッチ、
生き物の声のようなメロディと、全て譜面に起こしているのかもしれない？？・・・と思えるほど正確で
無駄な音がひとつもないアドリブラインがヴィビットなリズムセクションと対話する様は、
まるで壮大な歴史的建造物か、縦糸と横糸が精確に美しく絡み合う崇高な織物を創る熟練の職人技を
見せ付けられるようで度肝を抜かされます。
ナイフのような鋭さと重戦車のような堅牢な重さが隣り合わせのようなリッチー・バイラーク！
このようなピアニストは他にはいないのではないでしょうか？
この作品の美しさは、決して機械的にはならず、自然でありながら、且つ、現在においても斬新さを感じます。
そこには当時の流行を意識した形跡は微塵もありません。

ズビグニュー・ザイフェルトやジャック・ディジョネット、またはビル・エヴァンスを思い浮かべると、
ラルフ・タウナーの同時期リリースの｢バティック｣あたりの音世界と重なり合うような気もします。
美の極致ですね！
これらは美術と呼ぶべき音だと思います！

若い頃、この音楽を聴くときは、シャガールの画集を観ながら・・・というのが常でした。

その思い出のジャズ喫茶は、マスターがお亡くなりになり、近年惜しまれて閉店してしまいました。
音楽を通して人生を教えてくれたこのジャズ喫茶を思い出し、敬意を払い書かせていただきました。

Brand	N/A
Rating	4.6 (29 ratings)
Price	$21.59
Category	Avant Garde & Free Jazz

Elm

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